大相撲の歴史と土俵が女人禁制の理由

女人禁制の土俵

大相撲の土俵は女人禁制とされ、女性は足を踏み入れてはいけないとされています。これは相撲が豊穣の神様に捧げる儀式だったことに由来している慣習です。
相撲は元々、その年の豊作を祈願するために行う神事という歴史がありました。豊穣の神様は女性とされていたので、屈強な体を持つ男が組み合う姿を見せて喜んでもらう意図があったのです。土俵は豊穣の神様の聖域であり、そこへ同性である女性が入ると神様が嫉妬すると信じられていました。そのため、どのような理由があっても土俵に女性を入れてはならないという女人禁制の考えが定着したのです。
この考え方は豊作を祈願する神事から離れて興行となった勧進相撲が主流となってからさらに強固になったことは間違いありません。

勧進相撲は寺社などの施設の修繕費を得るために行われた見世物としての相撲であり、お金を取って客に見せるというスタイルを取っている現在の大相撲の原型とされています。この勧進相撲で土俵は女人禁制という考え方が強くなった背景に、当時の女性に対する考え方があります。

女性は修行中の僧侶や武士を色気で惑わす罪深い存在とされ、その女性が土俵に上がるのは穢れを持ち込むような行為とされたのです。また、裸で組み合う力士の姿に女性が魅入られてしまい、そこから色恋沙汰に発展することを避ける意味もありました。

現在の大相撲では女性に対する蔑視ではなく、単に昔から続く慣習に基づいて女人禁制のルールを守っているのが実状です。